その時代は終わった。

「Appleが発表したコメントでは中国市場のここまでの失速を予想できなかったというもの」
という今朝のニュースを聞いていてそれは責任を押し付ける場所が違うんじゃないかぁ?と失笑してしまった。

ちゃんと事情を追いかけているわけではないけれども、中国市場でのアイフォーンの人気はやっぱり落ちているようで、それは端末価格だったりもするけれども、一時期のような最新機種を持つことが自慢になるような状況ではなくなってきているという見るのが正しいのだろうなと。

日本でもアップルストアに何日も並んで最新機種を購入するような人がいたというのはある時期までは毎回の騒ぎではあったけれども、実際のところ現行のXsやXRがリリースされた時点ではかつてのような熱狂ぶりが信じられないくらいユーザの反応は冷ややかだった印象がある。

逆に言ってしまえば、スマートフォンの革新的な進化や新しい機能の実装は行き詰まりをみせているし、現行機種を使っていてもそれほど困らないという状況が続いている。
わざわざ自発的に買い換える理由なんてかつてほど強く存在しなくなってきているのだろうなというところである。

いくら最新機種でもiPhone Xsを友人に見せながら「買い替えた!」とかいう人、今おるか?
中学生とか高校生くらいで、親に買い与えられた安いスマートフォンが精一杯、自分で自由に端末を選べない層でのやりとりなら、まだわからないでもないけれど。

もはやスマートフォンは高性能なのが当たり前という時代なのかもしれない。
で、そんな中でどういったものが人気になるかといえば次は個性的なモデルだったり希少なモデルになってくるのだろうなと。

そんな中で中国ではシャオミの端末なんかが若い層に人気との話だったりもするし、あと日本国内では目にすることは無いけれどvivoとか。
今までもてはやされてきたAppleという存在がコモディティ化した末に起こったカウンターカルチャーのようなもので、まぁこういう流れ自体は別にガジェットに限った話ではないけれども、時間の問題だったよなと思うところでもある。

実際今の中国は技術開発に対する資金も人材も豊富なわけだし、自国メーカーによるスマートフォン自体もあって当然なわけで、そこに米中貿易摩擦だとか関税だとか米製品不買だとかも絡むとそりゃAppleは立場が不利になるわけで、もともと中国で商売できていたのが奇跡的なくらいなんじゃないかとすら感じる。
そこにあったのはブランドと流行が大好きな見栄の気質とかそういうものもあったのかもしれないけれども、実際のところを話題にしても仕方がないところで。

で、ここまでAppleがコモディティ化したという話できたけれども、実際にはもう少しApple自体にも原因があって、言わずもがな、ジョブズ亡き後のラインナップの酷さというか。
ジョブズのポリシーというのは物売りとしては先鋭的すぎたのだけれども、その美学こそが信奉を生んでいた面も否定できないだろうし、極端に言えばベストオアナッシングなシンプルなラインナップこそがアイフォーンでありAppleだったよなぁと思うところもある。

ところが今はどうだろうか。
選択肢は広がったけれども、アイフォーンであることには変わらず、選択肢が広がっただけかつての突き刺すほどのシャープさを見せていたポリシーの面影を見せないような角が削れて丸く太くなったような印象すら受ける。
これでは刺さるものも刺さらない。

なぜラインナップが増えるかといえば、単純な話で経営層が決め兼ねたからだというほかないだろうなと。
一つに絞れなければ2つ3つ並べて売ってしまえばいい。
確かにそれは間違いではないけれども、Appleのブランドにはあってはならない事だったのだろうなと思う。
なぜ決めかねるような状況になったかというと、今までその決定を行っていたジョブズが不在だからにほかならないし、商売を考えすぎるが故の迷いがそこにはあるのだろう。

ジョブズは、彼の人はアイフォーンの開発は「自分が納得出来るもの」を基準にしていた。
その基準は誰にも文句をつけられない一本芯の通った基準にほかならないわけで、それが奇跡的にもアイフォーンそのものの完成度を創り上げていた。
つまりはセンスが抜群に良かったのだとも言える。

そのセンスを欠いた現在のAppleは、見ての通りであろう。
かつてほどのインパクトもなく、今となっては惰性だけで繰り返される新作発表会にはファンも居眠りをするほどである。

あー、AirPodsとかやってる場合じゃないでしょうよ、きっと。
単純にびっくりさせたいだけならスマートグラスやるしかないところまで来てるんじゃないかなと。

 

平たく言ってしまえば、中国市場の失速ではなくて、自社製品のブレが素直に市場に出ているだけなんですよ、Appleは。
まぁ、わかっていても投資家に逃げられないように虚勢を維持する必要ってのもあるんだろうけれどもね。
経済、というかこれも一種の政治よね。